高校物理で学ぶ仕事とエネルギーの関係

query_builder 2024/09/19
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こんにちは!物理専門塾スキエンティア代表の戸澤です!

今回の記事では、仕事とエネルギーの基本を説明しています。

高校で物理・物理基礎を学んでいる皆さん、仕事とエネルギーの関係をきちんと理解していますか?

学校の授業で物理基礎を勉強中の方、受験勉強に一度基本から確認したい方、ぜひご覧ください!


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高校物理における仕事とエネルギーの基礎解説

仕事の定義と物理での役割

早速ですが、物理における「仕事」正しく理解できていますか?

日常的にも仕事という言葉は使われているので、物理で仕事ってどういうこと…?と感じている方もいるのではないでしょうか。

日常的に使っている「仕事」と、物理で扱う「仕事」は異なります。

まずは物理における仕事の定義を見ていきましょう。

物理では、 物体に力を加えてその物体を移動させたときに力がしたもの を仕事としています。

一直線上で物体に一定の大きさの力F[N]を加え、その力の方向に距離x[m]だけ動かすとき、

$$W=Fx$$

のように定義されています。

私たちが日常で使っている仕事は疲労感に相関があり、どんな仕事をするにも労力が伴いますが、物理における仕事は、物体が動かなければどんなに力を加えても仕事はしていないということになるのです!


エネルギーの基本概念と運動エネルギー

仕事の定義が分かったところで。仕事と一緒に知っておきたいものがあります。

それが、「エネルギー」です。

エネルギーとは、物体が仕事をする能力のことを言います。

例えば、動いている車が人にぶつかったら、その人は跳ね飛ばされてしまいますね。車は人に力を加えてその人を移動させているので、仕事をすることができるということになります。つまり、動いている車はエネルギーを持っているということになるのです。

運動している物体が持っているエネルギーなので、これを運動エネルギーと言います。

運動エネルギーは次のように表されます。

$$K=\frac{1}{2}mv^2$$

運動エネルギーは物体の質量m[kg]が大きければ大きいほど、また物体の速度v[m/s]が速いほど、運動エネルギーは大きいです。


仕事と運動エネルギーの関係をわかりやすく説明

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運動エネルギーの変化=外力の仕事

$$\frac{1}{2}mv^2-\frac{1}{2}mv_0^2=W$$

この関係式は、仕事とエネルギーの関係の部分で覚えるべき大切なポイントです!

物体がある点から異なるある点へと運動する間の運動エネルギーの変化分は、その間に物体に働いた力(外力)がする仕事に等しいのです。

ちなみに、エネルギー(energy)は、

可能にする:en

仕事:ergy

 で「仕事をする能力」という意味があります!


さて、物体がエネルギーを持つのは運動しているときだけではありません。例えば高いところにある物体は、エネルギーを持っているのです…!


重力による位置エネルギー

高いところから物体が落ちるとき、その物体はどのように動くのでしょうか?

ここで位置エネルギーという概念が登場します。

位置エネルギーとは、物体が持ち上げられることで蓄えられるエネルギーのことです。

重力の位置エネルギーは次のように表されます。

$$U=mgh $$
物体の質量m[kg]が大きければ大きいほど、また基準となる位置から物体のある位置h[m]が高ければ高いほど重力の位置エネルギーは大きいです。

位置エネルギーは、物体が落下するときに運動エネルギーに変化するという可能性を潜在的に持ちます(そのため、ポテンシャル(潜在力・可能性)エネルギーと呼ばれることもあります)。


力学的エネルギーと仕事の密接な関係

運動エネルギーと位置エネルギーの違い

先程も述べたように、運動エネルギーは運動している物体が持つエネルギーです。物体が動いている、ということは一目見ただけで分かりますね。

対して位置エネルギーとは、物体がある位置にいるときに持っている潜在的なエネルギーのことを言います。物体がどこにいるかが重要になるのです。なのでパッと見ただけではその物体がエネルギーを持っているかどうかは分かりにくいですね。

つまり、運動エネルギーと位置エネルギーの違いは、目で見て分かりやすいかどうかというところにあるのです!


運動エネルギーと位置エネルギーの関係性

それでは、運動エネルギーと位置エネルギーについてもう少し考えてみましょう。

物体が高いところから低いところへh[m]降下すると、重力は物体に対してmg・h[J]の仕事をしますね。

ここで運動エネルギーと仕事の関係式を思い出してみましょう。

運動エネルギーの変化=外力のする仕事

この関係式から考えると、今物体は重力から仕事を受けているので、運動エネルギーが増加していることが分かります。

エネルギーは勝手に作り出されることはないので、運動エネルギーが勝手に増えることはありません。

つまり、元々持っていたエネルギーが運動エネルギーに変換されたのです!

元々持っていたエネルギーとは、物体がh[m]降下する前にいた位置で蓄えていた位置エネルギーのことだと気づきましたか?

蓄えていた位置エネルギーが運動エネルギーに変換されていく仕組みがわかったところで、この二つのエネルギーの和を力学的エネルギーと言うことを覚えておいてください。


力学的エネルギー保存則とは?

繰り返しになりますが、エネルギーは作り出したり壊したりすることができません。

できることは、1つの形から別の形のものに変換したり、物体から別の物体に移動したりすることのみです。

つまりエネルギーは系の外とのやりとりがない限り、保存されるのです!

これは力学的エネルギーももちろん同じです。

運動エネルギーと位置エネルギーの和は外力が働かない限り常に一定に保たれているのです。

例えば、振り子がずっと同じ高さに戻ってくるのは、力学的エネルギー保存則によるのです。

仕事の公式とその適用方法

仕事=力×距離の公式と理解

物理の世界では物体に力を加えて、その物体が移動したときに初めて仕事がされたということになります。

仕事の定義でも述べましたが、

一直線上で物体に一定の大きさの力F[N]を加え、その力の方向に距離x[m]だけ動かすときにW=Fxで仕事が与えられると表せます。

ここで重要なのが、「一直線上で」というワードです。

力は鉛直上向きや南向き、などのように空間的な向きがあるベクトル量なので、運動の向きと力の向きが一直線上にあるという条件をよく確認しなければなりません。


仕事の単位と力の方向

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そうは言っても、運動の向きと力の向きはいつでも一直線上にあるとは限りませんよね。

例えば力が斜めに働く場合はどうしたらよいのでしょうか。

「運動の向きと力の向きが違うから仕事なんて考えられないよ…」

と諦めたくなる気持ちもわかります!!

ですが、コツさえ掴めば簡単に解決することができるんです!

やるべきことは、力を分解して運動の向き(移動方向)に働く力を調べる です。

運動の方向成分とそれに垂直な方向の成分に力を分解してから、仕事を考えましょう。

したがって、

仕事=力の移動方向成分×距離

$$W=(F\cos{\theta})x$$

と定義することもあります。

また、仕事の単位は1ジュール(J)です。定義からも分かるように1J =1N・mです。


移動の方向と仕事の正負

先程述べたように、力の向きと運動の向きが一直線上にないときは力を分解して考えなくてはなりません。

それでは、力の向きと運動の向きが反対方向の場合はどうしたら良いのでしょうか。

ズバリ、仕事が負になるということも覚えておかなくてはなりません!

例えば、走っていく犬をリードを引っ張って抑える時、犬が進む方向とは反対の方向に力を加えますね。

しかしすぐには止まらず、犬は進んでいくでしょう。

このとき、運動の向きと力の向きがちょうど反対になって、リードを引っ張る飼い主は負の仕事をしたと言います。

よく出てくるものでは、摩擦力が挙げられます。

摩擦力は物体の運動の向きとは常に反対の向きにはたらくので、負の仕事をしているのです。


高校物理で学ぶエネルギーの変化と保存

弾性力とそのエネルギー変化

学校の授業で扱うエネルギーについて、もっとみていきましょう。

例えば、バネを使ったエネルギー変化について考えてみましょう。

バネに取り付けられた物体には、常に自然の長さに戻ろうとする力(弾性力)がはたらきます。

このバネが自然の長さに戻るまでにする仕事は自然長からどれだけ伸びているかに依存するため、バネについている物体は弾性力による位置エネルギーを持っていると言います。

これを弾性力エネルギーと呼ぶこともあり、次のように表します。

$$U=\frac{1}{2}kx^2$$

バネ定数k[N/m]は一定に保たれるので、自然長からの伸びx[m]に依存していることがわかりますね。


エネルギーの保存とその実生活での例

さらに、エネルギー保存が実生活で活用されている例も見ていきます。

日々の生活に欠かせない発電所。ここでもエネルギー保存がされているのです。

水力発電の仕組みを考えてみましょう。

ダムに貯められた水や流れている水を落差を利用して大量に落とすことで、水車を回転させ発電しています。

この落差こそが位置エネルギーで、水車を回転させる運動エネルギー、そして電気エネルギーへと変換されていきます。

位置エネルギーは高ければ高いほど大きくなるので、より高い位置から水を流せば、多くの発電ができますね。

ですが、元々持っている位置エネルギーに対して実際に電気として出力されるのは80%程度となっています。


エネルギー変換の現象

エネルギー保存をすると言っても、実際は完全に100%電気エネルギーに変換されるわけではないのです。

現実では避けられない摩擦力の影響や、音・熱などにエネルギーが奪われていくからです。

欲しいエネルギーになっていないため、見かけ上は損失と言えます。

しかし、実際は摩擦や音・熱エネルギーに変換されていて、エネルギーは存在します。

この分のエネルギーも全部足し合わせることで、エネルギーが保存されていることを確認できます!

物理の問題では多くの場合損失を考えなくて済むので、頭の片隅に入れておくくらいで大丈夫です。


保存則が意味することとその条件

これまでエネルギー保存則が成り立つ場合のみを考えてきましたね。

しかし、これはいつでも成り立つわけではありません。

さて、また面倒なことを考えなきゃなのか…と思ってしまうのも無理はありません。

一体どんな時にエネルギー保存則は成り立つのでしょう。

答えを言ってしまうと、保存力だけが仕事をする場合のみなのです。

保存力というのは、物体にはたらく力のする仕事が、途中の経路に関係なく視点と終点の位置だけで決まる、時の力のことです。

つまり、重力や弾性力、静電気力などが挙げられます。

しかし、動摩擦力や人がする力は、どの経路を辿るかによって仕事が異なります。

くねくねした道を選べばそれだけ多くの仕事をすることになりますね。

エネルギー保存則が成り立つのは、点と点を結んだとき、その間で物体がどのような経路を辿って動いたとしても仕事が変わらない時にのみ、成り立つのです。

繰り返しになりますが、これが保存力だけが仕事をする場合、と言えるのです。


授業で役立つ仕事とエネルギーの学習ポイント

物理基礎の理解と学習戦略

ここからは、仕事とエネルギーを学習するにあたり重要なポイントを押さえていきます。

物理基礎を学習するために、「公式を全部暗記すればいいや!」と考えていませんか?

それ、実は危険かもしれません!

公式を丸暗記する前に、まずはその公式がどのようにして導出されたのかを確認することが大切です。教科書や参考書を読みながら、公式ができるまでの流れを掴みましょう。こうすることで仕事とエネルギーの関係性もよりわかりやすく理解することができます。

さらに、各公式が何を表しているのか、どのように使うのかを考え、自分のものにしていきましょう。


また、公式を暗記して物理の授業・テストに挑んできた人へ向けた記事があります。こちら


エネルギー問題の解切法と注意点

結局どんなに頭で理解したつもりでも、問題が解けなければいけませんね!

「問題文を読むと何が何だかわからない…」

という方のために、問題を見た時に特に意識するべきポイントを紹介します!

まず、仕事の問題について

・力の向きと運動の向きに注目すること

仕事を考える時に大切だったことは、一直線上に、というワードでしたね。もしも向きが異なる場合は、力の分解をしなくてはなりません!

エネルギーの問題について

・物体がはじめにいる点と終わりにいる点に注目すること

力学的エネルギー保存則の問題では、最初と最後に注目して、どれだけの位置エネルギーが蓄えられていたかを確認することが重要です。位置エネルギーと運動エネルギーの和は常に一定になることを頭に置いて、式を立ててみましょう。

・エネルギー保存則は保存力でのみ成り立つこと

エネルギー保存則が成り立たない場面で保存則を使おうと思っても、当たり前ですが答えには辿り着けません。物体にはたらいている力を見ることは、いつでも重要だということです。

まとめ

仕事とエネルギー

・仕事とは、物体に力を加えてその物体を移動させたときに力がしたもの。

・エネルギーとは、物体が仕事をする能力のこと。

・運動エネルギーの変化は外力のする仕事に等しい。

・運動エネルギー: 動いている物体が持つエネルギー

・位置エネルギー: 特定の位置にある物体の潜在的エネルギー。

・物理、物理基礎の学習には公式の暗記よりも、導出や概念の理解が重要。


今回は、仕事とエネルギーの関係について、基本から確認してきました。

物理が苦手だなと感じている人も、まずは基本に立って考えてみましょう。問題の解き方のコツを掴めるかもしれません!

また、もっと本格的に物理苦手を解決したい!と考えている方は、ぜひ一度公式ラインをチェックしてみてください!


最後までご覧いただきありがとうございました。

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